過活動膀胱
過活動膀胱とは
尿意切迫感が主な症状として現れ、さらに頻尿や切迫性尿失禁が生じる疾患です。高齢者になるほど有病率が高くなり、日本では、40歳以上の男女の約12%の方に過活動膀胱の症状があると言われています。
またこのような症状は、高齢者の方以外でも、中枢神経疾患や下部尿路機能障害(男性であれば前立腺の肥大、女性であれば膀胱炎)のある患者様にもよく見受けられます。なお尿意切迫感とは、急に強い尿意を感じることで、このような症状が起きるきっかけとしては、寒さや水の音といった外からの刺激によって生じやすくなるとも言われます。
治療について
治療につきましては、原因となる疾患がある場合は、それに対する治療を行うほか、薬物療法といった保存的治療があります。
薬物療法としては、膀胱で起きる過剰な収縮を抑える抗コリン薬、膀胱の容量を広げる効果があると言われるβ3刺激薬を使用します。
前立腺肥大
前立腺肥大とは
男性は齢を重ねるごとに尿の出が悪くなっていきます。その原因の中で最も多いのが前立腺肥大です。前立腺は加齢とともに肥大していくものですが、これが大きくなると内側を走る尿道を圧迫したり、前立腺の筋肉が過剰に収縮して尿道が圧迫されたりするようになります。これらにより、おしっこのたびに尿が出にくいといった排尿障害が起きるようになるのです。
なお50才以上の男性5人に1人が前立腺肥大症といわれています。症状としては、残尿感、トイレに行く回数が増える(頻尿)、尿意切迫感、尿の勢いが弱い(尿勢低下)といったものが現れます。さらに肥大が進むと、膀胱に残る尿の量が増え、感染症や腎不全などの疾患を引き起こすことがあります。
検査について
前立腺肥大症が疑われる場合はまず血液検査・尿検査を行います。まれに前立腺癌も隠れていることがありますので、必要と判断された場合は専門医に紹介します。
治療について
薬物療法が治療の中心で、主にα1遮断薬を用います。これは高血圧治療でも使用されますが、前立腺や尿道の筋肉を弛緩させ、尿を出やすくするという効果も期待できるものです。
なお、薬物療法で充分な効果がみられない場合は、手術療法となることもありますので、専門医に紹介します。
膀胱炎
膀胱炎とは
膀胱炎は、細菌が膀胱内に繁殖することで膀胱粘膜に炎症を起こしている状態で、これは尿路感染症でもあります。多くは、細菌(大腸菌など)が尿道から入ることで発症します。なかでも尿道の短い女性は細菌が入り込みやすい構造であることから、多くの患者様が見受けられます。
症状としては、頻尿、排尿が終わる頃に強い痛みが出る排尿痛、尿混濁のほか、下腹部痛、残尿感や排尿時の不快感などが現れます。なお、慢性の場合は、症状が軽度か無症状な場合もあります。
一般に膀胱炎と言う場合、急性単純性膀胱炎を意味していますが、膀胱炎にはそのほかにも尿路に基礎疾患があり、慢性に経過している場合に起きる慢性複雑性膀胱炎、細菌感染以外の原因で膀胱炎のような症状を起こす疾患(出血性膀胱炎、間質性膀胱炎、好酸球性膀胱炎、放射線性膀胱炎など)などもあります。
検査について
膀胱炎の検査では最初に問診を行い、その後尿培養検査などの尿検査を行います。なお、尿培養検査とは、専門の研究室に患者様の尿を提出し、尿の中の細菌の有無、種類を調べる検査です。これらの結果から、膀胱炎か否かを診断します。
治療について
膀胱炎と診断されたら、薬物療法として抗菌薬などを服用します。なお、服用することで通常1~2日間で症状は治まるようになり、多くは3~5日間の治療で治癒します。ただし、症状が出なくなったとして自己判断で薬を止めることはしないでください。服用については医師の指示に従ってください。
また再発予防として、日頃から水分をよく摂取して、尿をたくさん出すことを心がけ、尿をなるべくがまんしないようにすることも大切です。このほかにも、下腹部は冷やすと症状がひどくなるので常に温めておく、ストレス、過労をためすぎないようにする、完治するまではアルコールを控えるといった予防対策も行うようにしてください。